遺産分割

 遺産分割をQ&Aの形で分かりやすく解説します。


 父親が亡くなって相続が生じたのですが、どんなことから始めたらいいのか困っています。

 土地や家屋、預貯金、車などそれぞれの遺産を相続人がどのように分けるか、話し合うことが始まりになるね。

 遺言があればスムーズにいくのですが、残されていないようです。

 そうだね、遺言があれば、相続の手続きは比較的簡単に終えることができるが、残されていないとすれば、だれが相続人か、相続分、相続財産などの遺産分割を行うために前提となる事項を確定することから始めないとね。

 相続人は、母と妹と私の3人かな。

 遺産分割をするときは、相続人全員が集まって話し合うことが必要になるね。一部の人しか参加しない遺産分割協議は無効となるから注意が必要だ。戸籍謄本などで法定相続人をしっかり確認しておくことが必要になるね。戸籍を調べたところ、稀に認知された子がいたということもあるんだ。それから代襲相続人といって、例えば妹さんが亡くなっていた場合、子供が相続人となるので、このような人も話し合いに参加しないとね。

 念には念をいれて確定させることが大事なんだね。父は商売をやっていたので、財産もある程度残してきているのですが、預貯金など正確なところは分からないところもあるのですが・・

 遺産の範囲といって、建物や土地関係は登記簿や評価書、預貯金関係は銀行へ残高証明書を取るなどして遺産の額を正確に把握することが必要なんだ。これらは積極財産といってプラスの財産だが、借金や負債などは消極財産といってマイナスの財産となるから、これらも含めた遺産の範囲を確定することが必要となる。

 遺産の配分は自由に決められるの。

 民法906条に「遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」という規定があるが、協議をする上での行動規範にとなるが、法的な意味はないと言われている。したがって、あなた方相続人は自由に決めることができるんだ。

 遺産分割の時期は、いつまでに終わらせることになっているの?

 いつまでに終わらせなければならない、という規定はないよ。しかし、遺産が多額で相続税がかかるような場合は、注意が必要だ。

 遺産分割がまとまらなく、不調に終わったときは?

 ここからは行政書士の職務から離れるよ。相続人は、遺産分割の調停を家庭裁判所に申し立てることができるし、調停が開始されたものの、調停が成立しなかった時は審判の申立をすることになるので時間も労力もかかるんだ。