相続人の中には被相続人のために療養看護に努めたとか、会社の発展を支えたとかさまざま功労された方がいらっしゃると思います。これらは遺産分割のなかで評価され寄与分として主張することができるのでしょうか。
●寄与分の取り扱い
民法904条の2は、共同相続人の中に被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者に特別に与える「寄与分」を規定しています。どんなことが特別な寄与に該当するかというと、①労務提供型、②財産出資型、③療養看護型、④扶養型、⑤財産管理型、の5つの類型が該当します。特別な寄与とは、財産の維持・増加への貢献と捉え、通常期待される程度を超える「特別の寄与」であると評価することができれば、寄与分を考慮するべきと言われます。客観的にみて、財産の維持・増加のために努力されたとみられないと難しいのでハードルは高いと言えそうです。
それでは、寄与分は誰に対し、どのように主張するかが問題となります。共同相続人間ですので、複数の相続人がおられればその方々に対し、申立てをすることになります。
●特別寄与者とは
この寄与分と似て非なるものとして、特別寄与料というものがあります。民法1050条に規定されていますが、2018年相続法改正時に新設された規定です。特別寄与者は、相続人に対して特別寄与料の支払を請求することができるとし、遺産分割手続きの中で考慮されるものではありません。ここでの特別の寄与は、904条の2と同等の内容ですが、類型としている財産出資は含まれておりません。請求できるものは、親族で①6親等内の血族、②3親等以内の姻族が該当します。また、ここでも「特別の寄与」という言葉が用いられているのですが、その貢献の程度が一定程度を超えることを要求する趣旨のものといわれます。また、特別寄与料の請求は、相続が開始した後、相続人に対し金銭の支払を請求することと定められています。
特別の寄与は、相続を考える上でよく実態としてあり得ることではないでしょうか。下表で整理してみました。
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