過日の研修会で法定相続情報一覧図の仕組みについて講義がありました。この制度については、一度ブログに載せていますが、研修会での情報を追加しながら再掲いたします。
‹令和2年12月20日記事›
いざ葬儀を終えるとご遺族様にとって悲しみが癒えないなか、相続の手続きに着手することになります。相続人を確定するため、戸籍除謄本を取り寄せしなければなりません。相続人の数が多いと戸籍除謄本は何通も取得し分厚いものとなります。
■ 平成29年から法定相続情報証明制度がスタート
行政書士の本では相続関係説明図と呼ばれるもので、国・法務局では法定相続情報一覧図(不動産登記規則)と定めているものです。この制度は、相続登記が未了のまま放置されていることを抑止し、相続登記を促進するために創設されたものです。
相続は被相続人の配偶者や子など比較的簡易なものから直系尊属や兄弟姉妹、代襲相続などを含み多岐にわたる場合もあります。
法定相続情報一覧図は、これら被相続人の氏名、生年月日、死亡年月日、相続人の氏名、住所などを記したツリー状に表したものが一覧図です。
■ お近くの法務局へ
ご自身や代理人の方が作成した相続関係説明図は法務局へ出向き、収集した戸籍除謄本を添えて、法定相続情報一覧図の写しを請求します。登記官はこれを審査し書類の不備、不足等がないことを確認し認証文を付して、受付から概ね5日以内に一覧図の写しが交付されます。請求に伴う費用は無料です。
■ 一覧図の利用
戸籍除謄本の束を持ち歩くことなく一覧図の写し1枚を提出し、金融機関等においては相続手続が可能となります。ただし、金融機関によっては従来どおり戸籍除謄本の書類を求める場合もあるとのことでその対応は統一されていないと伺います。
主な利用は①法務局における登記や供託関係、②金融機関における預貯金の名義や払い戻し関係、③境界特定の申請や地図等の訂正申し出など、の手続きがあります。
一方で、相続登記の申請手続きや預貯金の払戻しなど担当機関の負担を軽減することをねらいとしています。
一覧図を作成するには戸籍謄抄本を収集し作成しますので、特に複雑な権利関係が発生する場合もありますので、専門士業に委任することも検討されてはいかがでしょうか。