令和元年10月現在の我が国の総人口に占める65歳以上の高齢化率は28.4%となっています。地域には老人会(クラブ)があって統括する形で老人クラブ連合会が組織されています。
もし老人会(クラブ)で相続に関する講演を依頼されたら、次の5点についてお話したいと思います。
1 公正証書遺言のすすめ
コロナ感染によりある日突然予期しないことが起こりうる世の中です。これら不意に備えるためにも、公証人がしっかり法的な手続きを踏んで作成する公正証書遺言についてお話します。手数料が負担となりますが、間違いのない最善な方法です。
2 自分で相続人一覧や財産目録をまとめよう
公正証書にためらいを感じる方は、取り敢えずメモ用紙があればご自身で相続人は誰になるか、また土地や自宅などの不動産、預金通帳などを調べ財産目録を作成することができます。生命保険や投資信託などの金融商品を調べましょう。
必ずしも相続はプラスの財産ばかりではありません。返済中のクレジットや借金がないか予め調査することも大切です。
3 相続した土地は登記が義務となる
民法等の改正により令和24年までに、これまで任意とされた相続した土地の登記が義務化となり3年以内に所有権移転登記を行わないと、10万円以下の過料に処せられます。手始めに土地家屋が現在どなたの名義になっているか確認しましょう。数代にわたって登記がなされていないと相続人が予想以上の数になることがあります。ご相談を受けた長期未登記土地について相続人は50名を超えた例があります。
4 もやもやした相続に関わる税金
税については税理士の専管業務ですが、基本的な知識として、相続税、贈与税などについて知りスッキリしたいものです。
・相続税は基礎控除額が3,000万円+(相続人の数✕600万円)となります。これを超えると課税されます。
・贈与税は受贈者1人に付き年間の基礎控除額が110万円です。
・登記に伴う登録免許税は評価額に対し1,000分の4を乗じます。毎年、市町村では固定資産税の納付通知書が送られます。同封される固定資産課税明細書に記されています。
5 空き家になったら
少子高齢化などの進展により集落においては過疎化が進み、一方では空き家となる例が多くなっています。空き家になると防犯や景観の面でも悪い影響を与えます。国においても法制化しており、市町村でも対策を講じています。将来的に住む人がいなくなることはある程度わかることでもあり、制度面などを把握して置くことが求められます。
5つの論点を中心に相続に関わるお話ししたいと思います。