全国銀行協会がまとめた「金融機関における取引の考え方等に関する指針」について注目しました。いわゆる認知症の方とその代理にある家族等から預金の支払い請求があった場合の対処方針です。
方針の中で重要なポイントは、無権代理人との取引です。この場合、「無権代理人」とは成年被後見制度や任意後見制度による法定代理人との取引する場合を除くことを指します。
1 親族等による無権代理取引は、本人の認知判断能力が低下した場合かつ成年後見制度を利用していない(できない)場合において行う、極めて限定的な対応である。
2 成年後見制度の利用を求めることが基本であり、成年後見人等が指定された後は、成年後見人等以外の親族等からの払出し(振込)依頼には応じず、成年後見人等からの払出し(振込)依頼を求めることが基本である家族や親族が銀行の窓口を訪れて預金等の支払いをも求めた場合、極めて限定的な対応となる。
3 認知判断能力を喪失する以前であれば本人が支払っていたであろう本人の医療費等の支払い手続きを親族等が代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかである場合に限り、依頼に応じることが考えられる。
4 無権代理の親族等からの払出し依頼に応じることによるリスクは免れないものの、真に本人の利益のために行われていることを確認することなどによ り、当該リスクを低減させることができる。
長文になりましたが、方針を引用しました。
銀行側にとってはリスクを考慮しているので当然な結論であると思います。家族等が本人に代わって預金の引き出しをする場合は、医療費やホーム利用料、生活費など認知になる以前に確実に支払いがなされていたものを限定しながら認めることになるようです。
本来であれば、成年後見制度に則り被後見人との手続きをとった上で対処するのが正しいやりかたでしょうが、費用がかかるとか裁判所の手続きを要するなど簡単ではないと言えます。銀行側のリスク軽減と利用者への対応の調整を図りながら今回の方針を出されたものと思われます。