津波で家族を失ったハルが、伯母の住む広島からふるさと大槌までいろいろな人と出会い、風の電話で亡き家族に語る様子を描いた作品です。ハルは出会いを通して成長した姿が描かれています。
映画は2時間30分の長編です。大槌まではヒッチハイクの状態ですが、途中、日本で働くトルコ人との出会いや、福島原発で働いていた青年、その父を演ずる西田敏行の会話。朴訥ながらも、横浜に転向した小学生に対するいじめや震災前の日常に戻りたい叫びなどが語られ胸を打つものがあります。ラストシーンは風の電話。繋がっていないものの、ハルは想いを言葉にし切々と訴えるかのような情景は改めて震災の記憶を呼び出させるものがあります。
どこまでの過程を経たら復興を終えたと言えるのか分からないのですが、造成済みの土地が空いている現状、人口減が進む一方、高齢化の進展、町に活気が戻るのは容易ではないと思います。少しでも町づくりを支えようとする様々な活動が新聞で報じられており、発展の起爆剤となることを見守りたいと思います。