所有者不明土地とは「登記簿から所有者にたどりつけない土地のこと」をいいます。このような土地は九州の面積にも匹敵するともいわれていますが、国の法制審議会では、来年の臨時国会への法案提出をめざし検討が進められています。
朝日新聞12月6日付け東北版「登記義務化へ法改正検討 訴訟に発展、公共事業に遅れ」と題し報じられています。この記事で取り上げられているのが、秋田県内のある街で所有者不明とされた土地をめぐり、民事訴訟が起こされた事件です。その内容は次のようなものです。
・原告は亡くなった父親が約50年前に買った土地を調べると、知らないうちに所有者不明の土地として扱われ、地元の不動産会社へ売却。
・隣地を所有する不動産会社が境界確定のため、登記簿記載の男性の父親に連絡を取ろうとしたが所在をつかめず、財産管理人が認められた。
・原告は所有者の探し方が不十分と、不動産会社はやるだけやったと訴訟は継続中
この案件は、父親がなくなった後に相続の手続きを行い、名義変更と登記を行っていれば争いは避けられたものと思います。所有者不明の土地は東日本大震災の復興工事にも問題となりましたが、記事の中でもどんな点が発生したか詳細に報じられています。来年1月に開催される臨時国会で法案が提出されさまざま議論されるものと思います。登記を怠った場合の金銭を支払わせることや所有者が住所を変更した際に変更の登記を努力義務とすることなど、直接国民に降りかかる問題でもあるので注視をしていきたいと思います。