日業連の中央研修所には様々な講座が準備されています。講座はVOD研修といって自宅で居ながらネットを利用して研修を受けられるものです。
今回は専修大法学部佐々木教授による「相続法の改正について」視聴しました。あらかじめレジュメをダウンロードし、印刷したものをテキストとして参照しました。時間は2時間を超える力作です。テキストには目次があり、この講義を進めるうえで道しるべとなるものです。大まかには、第1章として相続法改正・概論、第2章として各論として6つの論点を詳細に説明されています。
相続法改正についてはすでに研修会やVODでも受講したので、各論は省略します。ここでは、改正法の成立、公布、施行を再度振り返ってみたいと思います。改正の経緯となった最高裁決定があります。平成25年9月4日の「婚外子相続分最高裁大法廷違憲決定」とよばれるものです。嫡出でない子の相続分を嫡出子相続分の2分の1とする民法900条4号ただし書前段を違憲としたものです。その後相続法制全般の見直しに関する諮問があり、最終的に法制審議会総会にて承認、法務大臣に答申を経て改正法は平成30年7月6日公布されております。
相続法の改正については原則的な施行期日は、令和元年7月1日となっています。以下の改正については施行期日が異なります。
①自筆証書遺言の方式緩和については平成31年1月13日となっており、既に施行されています。
②配偶者居住権・配偶者短期居住権関連は令和2年4月1日からとなっています。
③「遺言者保管法」は令和2年7月10日からとなっています。
このように段階的に施行がなされることに注意が必要です。
テキストが分かりやすく条文に基づいたもので、かつ講義も丁寧で良かったと思います。