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農地法3条許可申請と相続


先日買い求めた「農地法読本」(大成出版社、宮崎直己著)を読み進めています。許可申請と相続に関する説明が興味深い解釈がありましたので紹介します。

 

農地法3条は農地の権利移動を規制する条文で、農地の所有権を他人に移転する、あるいは賃借権を設定することなど規制しています。このような申請があった場合農業委員会は法令の定めに従って許可又は不許可をすることになりますが、許可申請の基本原則は双方申請にあります。

 

農地の売買について申請が提出されたとすると、売主と買主が双方申請書に署名の上提出しますが、仮に当事者の一方が許可審査を受ける前に死亡した場合、これがどのように取り扱いされるかということが問題となります。売主と買主のいずれかが死亡した場合、その取り扱いに差異が生じるとされています。

 

売主が死亡した場合は相続が発生しますが、相続人がその地位を承継し双方申請の要件は補完されるに至ると解さいます。一方買主が死亡した場合はやや複雑なようです。相続人一人だけいる場合はその人が権利義務をすべて承継するため双方申請の要件は具備していると解されますが、相続人が複数おられる場合は、農業委員会としてはどなたが権利を承継するか決まらない時は一旦行政指導を行い取り下げてもらい、決まった時点で再度申請を受け付けると解されるということです。なお、行政指導に従わない場合の取り扱いについても本書では論述していますが、ここでは省略したいと思います。

 

このような事例は稀であると考えられますが、農地法は民法、行政法とも関連して奥が深いと思いました。